高松高等裁判所 平成9年(行コ)5号 判決 1997年7月18日
徳島県阿波郡市場町大字山野上字白坂二三四-一
控訴人
中西巧
右訴訟代理人弁護士
早渕正憲
徳島県麻植郡川島町宮島七四七-二
被控訴人
川島税務署長 久門紀夫
東京都千代田区霞が関一丁目
被控訴人
国
右代表者法務大臣
松浦功
右両名指定代理人
前田幸子
同
松本金治
同
高橋延誠
川島税務署長指定代理人
黒田保俊
同
川村勲
同
大喜多山治
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人川島税務署長が平成六年五月二六日付でした平成五年分の所得税にかかる控訴人に対する還付金の充当処分はこれを取り消す。控訴人の昭和六三年分所得税確定申告書に基づく昭和六三年分所得税にかかる延滞税四九〇〇円及び平成元年分所得税第一期分の予定納税額にかかる延滞税一八〇〇円の各債務は存在しないことを確認する。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人らの負担とする。」との裁判を求め、被控訴人ら代理人は主文同旨の裁判を求めた。
二 本件事案の概要は、次のとおり削除、付加するほかは原判決の「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決六頁七行目の「乙二「の前に、「乙事件」を加え、同頁一〇行目の「ところが、」を削除する。
2 原判決七頁五行目の「乙九」の前に、「甲事件」を加える。
三 証拠関係は原審の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないのでこれを棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり訂正するほかは原判決の「事実及び理由」欄の「第三 判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一一頁一行目の「平成五年行ウ第二号」を「乙」に、同頁二行目の「平成七年行ウ第五号」を「甲」に、同一七頁二行目の「同年」を「平成二年」にそれぞれ訂正する。
2 原判決二〇頁二行目冒頭から、同頁九行目末尾までを次のとおり訂正する。
「しかしながら、課税要件が充足していないのに、これに反した納税申告が自己の意思によってなされた場合には、所得税法に定める更正の請求によりその是正を求めるべきであって、更正の請求以外にその是正を許さないならば、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がない限り、課税要件の充足の有無は、私人の公法行為である確定申告の効力を左右しないというべきところ、前記認定のとおり、控訴人は、昭和六二年分の確定申告については矢部税理士から勧められてこれを提出し、同六三年分については、三宅医師に確定申告の提出を委ねているのであって、右にいう特段の事情は存在しない。したがって、控訴人の主張は失当である。」
二 よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき、民事訴訟法九五条、八九条を各適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大石貢二 裁判官 溝淵勝 裁判官 重吉理美)